リアルなグローの作り方:"光の減衰率"を意識する
今回は合成におけるグローのテクニックについて。MPC, Millの実写合成の現場で学んだ事、自分が教えてもらった事や今迄本やネットから学んだ事に通じている「基礎」をご紹介します。詳しい点は省略しています。結局細かいところはどうするの?と疑問に思われるかもしれませんが、一番大事な所を紹介するのであとはこれを踏まえてオリジナルのアイデアで画を作りつつ仕上げて下さい。
タイトルに[Nuke][AfterEffects]と付けていますが、Nukeをメインに説明します。それは今回一番のポイント光の計算をリアルに再現出来るのがリニア計算合成ソフトのNukeだからです。(過去記事参照)しかし、AfterEffectsでも見た目で近い感じに再現はできます。
リアルなグローを作るにおいて、一番大事なポイント!
光は逆2乗の法則(Inverse-square law)で減衰する
ネットから画像を拝借しました。こんなイメージです。
ここからNukeをベースに話を進めます。
グローといえばGlowノードだ!となるかもしれませんが、Glowノードは、デフォルトのsize以外を変え無い場合、inputをBlurして、Plusで乗せるのと全く同じです。色々Glowのパラメーターを調整しても、結局光の拡散のベースがBlur(デフォルトgaussian)になっています。gaussianブラー計算のアルゴリズムは難し過ぎて私も理解していませんが、結局ピクセルを平均化しているのであってこれは逆2乗計算ではありません。ここにリアルに見えない大きなギャップがあります。
リアルにするには、逆2乗で光が減衰していく計算をさせれば良いのですが、そんなデフォルト機能はありません。エクスプレッションやプラグイン作成で出来るはずですが、私が経験した現場ではデフォルトノードの組み合わせでリアルに逆2乗で光が減衰している「っぽい」ものを再現しています。画作りなので見た目最終調整することになるので、いまから紹介するテクニックでいつも事足りています。そのテクニックとは、
異なるBlurサイズを加えたレイヤーを重ね合わせていく
・・・です。(上画像参照)厳密に光の減衰率を再現していませんが、エクスプレッションで管理することによりリアルに近いものが再現できます。Blurのsizeをレイヤーごとに2倍、4倍、8倍・・としていき(ここがポイント)、Multiplyノードでだんだん重ね具合を弱くしていきます。あとは、作りたい画次第で重ねるレイヤーの数や減衰具合を調整します。Keyer(luminance)を組み合わせると、明るい所程グローさせる事ができます。MPCやMillではこの考え方をベースにしたオリジナルgizmoが使用されています。
以前紹介したSliceToolで光の減衰具合をみれば、こちらのテクニックを使用した方が逆2乗減衰に断然近いのがわかります。
After Effectsでも同じ考えで作ればいいのですが、超!!!気を付けなければいけないのが、After EffectsはNukeと違いデフォルトがリニア計算でなく、sRGB計算です。プロジェクト設定で描画モードの計算をガンマ1.0(=リニア計算)に出来ますが、計算が重くなる、他の計算に影響する、などあります。After Effectsは元々はリニア計算合成用に設計されたソフトではないので、現場で使ってどのような影響があるか私自身やったことがないので未確認です。それでも、プロジェクト設定を変えなくてもこの記事に書いた事を意識して作業すれば「エフェクト:グロー」一つで済ませるよりぐっと奇麗なグローが作れます。ComperKさんのブログで丁寧な解説がされてますので是非参考にして下さい。
コンポジター地獄行き!:After Effectsで綺麗なグローをつくるテクニック
他参考資料
Autodesk Area "光の減衰"
wikipedia 逆2乗の法則
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