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CG study (After Effects, Nuke, Maya...), English study and more.

Tuesday, October 25, 2022

[Nuke][コンポジット] 初企画!作品レビュー 出石さんの作品

★★作品レビュー!★★
制作者の出石さんに掲載許可をいただきましたので初企画!作品レビューです。
出石さんはコンポジター実務経験3年目とのことで、自主作品を見て欲しいと直接DMいただきました。

出石さんからの相談内容は以下でした:
「物足りなさを感じています」
「特に木の根元付近に違和感を感じて、スモークを少し強めに足してごまかしてしまっていて、全体的にファンタジーっぽさを出すように制作しました。
ですが、自分の目標としてはリアルな夕方の森の感じを作りたいのでどのようなアプローチでリアルな方向に持っていけるかをアドバイス頂きたいです!」



私からのアドバイスとして、まずは
画自体に関して
(1)冒頭。



一枚絵として綺麗に仕上がっています。リアルを目指しているのであれば主役である建物にディティールや雰囲気が欲しいですね。これは、比較的新しめの建物ですか?そういう設定にしたいわけでなければ私なら経年劣化のディティールを沢山足して雰囲気を持たせます。
これは細かいですが、右下に冒頭で一羽だけ動いて見える鳥が一瞬「モニタのゴミかな?」とよく無い意味で注意を引きます。鳥を見せたいのであれば複数うまい具合にレイアウトしてあげると良いですね。風向きと反対に飛んでいるのも画全体のエネルギーの方向が反発しあってるのでちょっと違和感があります。

(2)中盤


カメラを横切るモーションブラーの強い木が悪い意味で注意を引いています。木をカメラの前に走らせて奥行きを感じさせたいのであれば、超長いモーションブラーが出ない程度に木をカメラからもっと離した方が良いと思います。

(3)終盤


キャラクターが出てきて、一番の見せ所ですね。しかし少し混乱してしまいました。
その理由の一つはキャラクターが視認しにくいことです。色など、背景とあまり違いがなく、認識しづらいです。認識できる〜と思ったら、すぐにカットが終わってしまうので、もっと最後に「魅せる」のに十分な長さの尺も欲しいです。
キャラが背景に溶け込んでる解決策としては、提案としてこんなことをザックリやってみましたがどうでしょう?
演出に関して
これは終盤で私が混乱した理由の一つなのですが、甲冑を着たキャラクター(ロボット?)が、なぜこの森林の奥地の建物に来ているかという事です。建物の雰囲気とキャラクターの雰囲気が結構違うため、この主役ふたつの関連性がこのショットの短い時間で想像できませんでした。短い尺でショットを「魅せる」には、こういうところで説得性やストーリー性が必要です。コンセプトアートや絵画、写真作品などを見てこういうことを考える癖を養ってください。

もっとドラマティックに見せたいというのであれば、夕方でももっと雰囲気のある空にすれば、それに合わせるようにライティングと絵全体の雰囲気も上がると思います。
適当にフリー素材をネットで見ましたが、このような空の方が雰囲気がありますね。私はこの中で個人的に青みとピンクみの混ざった空が好きです。色のバリエーションも増えますし。

私は私が指摘した部分の方が気になったので、質問にあった、木の根元付近に関しては全く気になりませんでした。

総評
自主作品を積極的にしていること、アドバイスを求めてネットで公開シェアの許可をしてくださった時点で大変将来が有望です。改めて許可ありがとうございました。
出石さんのように自主作品を作って質問してくださる方によくある傾向として、ご本人は「ここのディティールが気になる」などのお考えがありますが、こちらから見ると「画として何を魅せたいのか?」という一番重要な部分がズレていたり曖昧だったりする場合が多いです。ここさえ抑えられれば、ディティールは正直言って最重要ではありません。自分の好きな絵画や映画の1カットでも振り返ってもらえれば、どうしてその画に魅力があるのか?理由があるはずです。是非研究してみてください!



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