ハリウッド映画における分業制をコンポジター中心に相関図にしてみました。例なのでもちろんこの限りではありませんが中規模以上のプロダクションだと大体基本構成は同じになります。
私はTV番組、コマーシャル、ミュージックビデオ仕事など経験し、一人で殆ど完結するような仕事も経験しています。今はコンポジターとして映画製作に携わっていますが仕事環境としては今迄で一番かなり分業されている環境にいます。
図をみてもらうとてっとり早いですが、時間のかかるprep/roto/matchmove作業はすべて担当部署がやってくれ、コンポジット作業に集中できます。使用ソフトはNukeのみです。ここまで分業されている環境だとコンポジターとしてはそれぞれのスペシャリストが作った素材を完成させる料理人の感覚です。
一方で、凄い数の部署からデータを受け取りまとめるポジションなので「エラー探し」「不具合探し」「何がどういう状況になってるかつきとめる」立場になってしまいがちで、かなりの時間をこういう事に割く時は正直言って結構フラストレーションがたまってしまいます。コンポ作業やってなくてずっと問い合わせのメール書いてるよっ!って。もちろんコーディネーターさんが管理、仲介してくれるのですが、彼らも「何ショットの何素材が更新止まってる」とか記録はしていても全て覚えられないので、そういう時はコンポジターが「どうなっていますか」とフラグをたてる必要があります。例えば、アニメーションが更新されたときに、エフェクトとライティングは同時には更新されず、バラバラのタイミングで更新されます。「あの素材は更新されたけどこの素材は後で更新される」などきちんと覚えておいて作業をすすめる必要があり、管理能力が問われます。また、分業制でもやはりプロジェクトの後半では「3Dに戻って修正出来ない」状況になり、「コンポジットでなんとかする」必要が発生するのは分業でない環境と同じです。あと、コンポジターの場合分業されている程「素材待ち」の時間が長くなり、時間がもったいないなあと思う事もしばしば。
このように分業されてるからこそのデメリットもありますが、大量のショットを高いクオリティで作っていくにはやはり分業でないと、と感じます。分業になる程それぞれの部署のクオリティが平均して高くなり、作業スピードも早くなります。少人数環境の仕事は「私がやった作品!」という思うが強く、分業環境ではそれが薄まってしまいますが、その分自分の担当部分をとことん突き詰められるという楽しさもあります。
私が参加したもうすぐ日本公開もされるX-men:フューチャー&パストのワークフローも大体この相関図と一致しています。ステレオコンポジットと通常コンポジット(ステレオコンバージョン用)の2種類のショットがありました。Simulationチームからはcloth simulationされたジオメトリを貰い、Nukeで3D作業しました。
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