デイリーとは?~コンポジターの場合~
海外就職して映画製作に関わると絶対あるのがデイリー=dailies. 制作過程チェックです。コンポジターである私は具体的にデイリーで何をするのか、どのようなものなのかご紹介したいと思います。もちろん会社によってスタイルは若干違いますが基本的にはおおむね紹介するような形です。
どのようなものか
その名の通り、毎日行われます。振られたショットを会社のシステムを通して提出=submitすると、社内のエディターがデイリー用に試写準備してくれます。ショットの状態はWIPであったり最終提出前提であったり、それはプロジェクトの進行状況と上司の指示によって様々です。その提出したショットを映画なので当然暗いスクリーニングルームで試写されます。これが最初ちょっとびびりました!自分のショットを大きいスクリーンでマジマジみられるので。社内VFXスーパーバイザー、2Dスーパーバイザー、コーディネーター、シーケンス担当のリードコンポジターが大体いて、主にVFXスーパーバイザーがショットに関し修正指示をだしたりクライアント提出の決定を下します。同席しているコーディネーターはその時出た指示内容をノートパソコンで記録してショット番号のデータベースに登録します。しかし、だーっと喋った事の概略的な文字起こしなので勿論100%正確ではありません。コンポジターである自分もきちんと会話の中で理解している必要があります。コンポジターのデイリーは大体一日1〜2回されます。クランチライム(締め切り前)は夜に3回目が行われる時もあります。もらったフィードバックに対するアップデートを次のデイリーに提出する、の繰り返しです。
3種のLUTでチェック
基本、ショット用 LUT(最終的にほぼこのグレーディングになる、という前提のオリジナルLUT)オン状態でチェックされますが、細かい部分をチェックする時はMaster(=ショット用Gradeが無いNeutralな状態。これが納品するデータとなる)、Logでもチェックされます。VFXスーパーバイザーの指示で、エディターがその場でスクリーンに表示するLUTを切り替えます。勿論どんなLUT上でも合成が成立している必要があります!
プレゼンと交渉の場
日本と変わりませんがチェックの場なのでスーパーバイザーの指示を聞くだけではなく「こうするためにはこれが必要、ここまでならできる、これがあればさらにこれが出来る、それをするにはもう少し時間が必要」などこちらから説明や交渉する必要もあります。この時コンポジターとして他部署と大きく違うのは「納品前の最終行程」というところで、コンポジットで直すか前部署(エフェクト、ライティング、マットペイントなど)にキックバックするかでプロジェクトの進行として予定が大きく変わるので、何処で直すのがベストなのか、自分が受け取っている各素材の状況を説明しVFXスーパーバイザーに判断してもらう必要があります。この言葉によるやりとりですが、自分自身海外に出て欧米はプレゼンがかなりものをいうんだなとつくづく思いました。説明して自己アピールする文化。何か上手くいかない理由がはっきりあるならきちんと説明する。自分が技術的に何をしているか分かっていることを会話のなかで相手に理解してもらう。など。この能力はデイリーでも要求されます。
デイリーで良かった事
プレゼン能力に関しては、自分としては勉強中ですがデイリーを経験することで凄く凄くよかったことがあります。それは、ベテランコンポジターのデイリーを見られる、という事です。デイリーでは自分のショットの番が回ってきたときにコーディネーターにスクリーニングルーム呼び出されますが、少し時間の余裕をもって呼び出されるので順番を待っている間自分のショットの前も見られる時があります。ベテラン勢のショットの進行状況、どのようにショットを良くしていってるのか、そして何よりも彼らがどういう風にプレゼンと交渉しているのか、とても参考になります。X-men: フューチャー&パストの仕事をしていたとき映画のヒーローショットとなるショットの進行をずっと見られて、すごく為になりました。
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