注:くり返しになりますが、「これが正解!」というものはなく、対処の仕方は素材次第の部分が多いので記事は参考までにしてください。
私が経験上役立つと思った「考え方」を紹介するのが目的なので、詳しいチュートリアルがあるものはそちらの紹介をします。(何よりも、紹介するチュートリアルが良質なので私が書くまでもない・・・)
Tips 2: rgb編
Tips1に書いたように、rgbとalphaは「基本」分けて処理します。rgbを処理するのに、一番処理が難しいのがエッジ部分。FG(前景)のエッジ部分がBG(背景)プレートと馴染まないということがよく起こります。
その時のrgbエッジ部分の対処方法として、大きくこのような考え方があります。
これらの対処法は、一度の処理で全体に対して全てうまく解決出来るということは稀です。
FGやBGの部分部分に対してルマキー、ざっくりとしたロト、条件付け、エッジ部分のマスク作り、などをして適材適所に行う必要があります。
1、デスピルで対処する
比較的問題が簡単なケースだと、かなり手早く綺麗に対処できます。FGのデスピル処理をする際、エッジ部分のカラーに浮いた色が出ないよう、カラーを適切に設定します。画像の例では以前紹介したことのあるデスピルツールPxF_KillSpillの「SpillTweak」の値を変更していますが、このツールを使わなくとも同じことはできます。
全く同じアルファでも、デスピル処理でエッジの見え方が変わる |
2、Additive Keyer
BGに対してキーイングしたFGをoverで重ねる前に、FGの値をaddすることによってFGの明るいところは明るく、FGの暗いところは暗くなるようBGを処理する事です。こうする事により、FGの馴染みがよくなります。私は社内チュートリアルで覚えたのですが、有料($39.95)だとcmivfxのオンラインビデオチュートリアルが詳しく分かりやすく説明されていてオススメです。
https://cmivfx.com/nuke-advanced-keying-and-channel-ops
Nukepediaにツールとして解説されています。
http://www.nukepedia.com/written-tutorials/additive-keyer
日本語で詳しく書かれているのはテラオカマサヒロさんの連載 NUKE プラクティカル・ガイドです。
https://cgworld.jp/regular/nuke011-3.html
3、rgbを引き延ばす(Edge extend)
不適切なエッジが見えている部分をカバーするように、エッジを内側から外側に向かって引き伸ばしていくテクニックです。以前にも紹介しましたが、franzさんのこちらのサイトに詳しく解説されています。
http://franzbrandstaetter.com/?p=452
このサイトで使われている素材のように、解像度低めの素材にも有効です。(キーイングした時点でジャギジャギ黒エッジが出やすいため)
注意点として、処理の性質上ディティールを失いやすい、鋭角になった部分(例えば袖口と手の境目の角など)の処理が変になりやすい、などのデメリットがあります。うまくいっている部分だけをラフなロトなどで抽出する必要があるかもしれません。髪の毛など細かい部分の処理には向いていない場合がほどんどです。
4、背景に馴染む色を乗せる、ペイントする
エッジ部分が後ろにある何か不必要なディティールを拾っていたり、髪の毛の後ろにゴミがあったりと、細かい修正が必要なものに対してはその部分にConstantで色を乗せる、ペイントする、などの処理が必要になります。気をつけたいのは、処理が必要のないチャンネルは触らないようにすることです。例えば、HSVのHだけの修正で済むならColourSpaceノードでHSVに変換してからHだけペイントするなど。また、ペイントした後はその部分にも実写のノイズがきちんと乗るようにしてください。5、静止画トラッキングする(かなり、最終手段的な方法)
絵が雑で申し訳ないですが、私が実際映画プロジェクトで修正したパターンを紹介します。絵のようにFGとして必要だったのは葉っぱだったのですが、背景に強い照明と、撮影の足場が写っていました。私がショットを始めた時点でロトアーティストが葉っぱのロトを切ってくれましたが、いくらロトが正確でもこれでは葉っぱのエッジに背景が写ってチラチラしまくります。結局、葉っぱを静止画にしてプロジェクションマッピングするという方法で解決しましたが、これ以外で完璧にエッジ問題を解決する方法はなかったと思います。(葉っぱは実際はもっと入り組んでいたので、1〜4の方法論では解決できません。)カメラはパンで動いてます |
おまけ:BGをFGに合わせる
FGのエッジをいくら処理してもBGに合わない、という場合は「BGをFGに合わせる」をいう選択肢も検討してください。例えば、FGが強い逆光を拾っている場合などは、BGに合わないからといってそれを無理に押さえ込むよりも、その逆光に合うようなBGにしたほうが馴染みやすいでしょう。これらのテクニックを見て勘づいた方もいるかもしれませんが、エッジに問題が出た場合はエッジのrgbを処理するのが定石で、alphaを削ることは本当に他に選択肢がない場合以外、極力しません。
以上、rgb編でした。思いつくこと全部は書ききれなかったのですが、キーイングは本当にケースバイケース、部分ごとの処理になるので経験値を積んでカンを鍛えるのも必要です。他に追記するような内容がまとまったら、その時にまた記事を更新します。
他、キーイングの知識全般に良いチュートリアルブログ、以前ご紹介しましたがこちらです。
Compositing Mentor
記事が役に立った!という方はAmazonギフト券(15円〜)で支援してくださると今後のモチベーションになります!「受取人」にshizuka67(アットマーク)gmail.comと入力お願いします 詳しくはこちら
No comments:
Post a Comment